こんにちは。無限塾東京校校舎長の鈴木愛弥です。
子供を褒める時,どのように褒めていますか?「100点取れて頭いいね」「才能あるよ!」このような褒め方は一見子供のやる気を高めそうです。しかし,実際そんなことはなく,むしろ意欲を低下させてしまうのです。
この記事では子供の意欲を高める能力観である「しなやかマインドセット」についてわかりやすく解説していきます。
あなたの考え方はどれ?
いきなりですが,簡単なテストをします。以下の中で自分の考えに1番近いものを選んでください。
- 知能は人間の土台で,それを変えることはほとんど不可能だ。
- 新しく学ぶことはできても,知能そのものを変えることはできない。
- 知能は現在のレベルによらず,一程度伸ばすことができる。
- 知能は伸ばそうと思えば相当伸ばすことができる。
選べましたか?
選んだ数字が大きいほど,あなたはしなやかマインドセットで,小さいほど硬直マインドセットです。
この「しなやかマインドセット」「硬直マインドセット」とはなんでしょうか。
しなやかマインドセットとは
しなやかマインドセットとはなんでしょうか?人事労務用語辞典によると「自分の才能や能力は、経験や努力によって向上できるという考え方」とされています。つまりしなやかマインドセットとは能力は可変的だと考える能力観のことです。逆に硬直マインドセットとは能力は固定的だと考える能力観のことです。
このマインドセットによって,考え方が変わってきます。
硬直マインドセット | しなやかマインドセット | |
失敗した原因は… | 能力や周囲のせい | 努力不足のせい |
他者評価に対して… | 敏感 | そんなことより成長 |
困難を… | 避ける | 求める |
努力は… | 能力がない人のみ必要 | 誰もが必要 |
批判に対して… | 攻撃と捉える | 考えるきっかけ |
このような考えの違いにより,硬直マインドセットは失敗に弱く,しなやかマインドセットは失敗に強くなります。
マインドセットを決めるもの
自分自身が「しなやかマインドセットで生きよう」と思うことも重要です。しかし,マインドセットを決めているものはほとんど,周囲の環境です。
スタンフォード大学のキャロル=ドゥエックらは褒める際の言葉掛け影響を研究しました。一方のグループの子どもたちには「こんなにできるなんて頭がいいね」と能力や結果を褒めました。硬直マインドセットの考え方です。一方のグループの子どもたちには「こんなにできるなんてよく頑張ったんだね」と努力や過程を褒めました。しなやかマインドセットの考え方です。
結果は前者のグループは意欲低下し,成績は下がり,成績を高く偽るようになりました。一方後者は意欲向上し,成績は上がり,成績を偽ることはありませんでした。このように,親や教師が硬直マインドセットだと,子供も硬直マインドセットになってしまうのです。つまり,マインドセットは周囲の環境に大きく影響されて決定されるということです。
保護者や教師は子供がしなやかマインドセットを獲得できるように意識しなくてはなりません。
子供が成功した時
子供を褒める時,次のような褒め方は硬直マインドセットを助長します。
- 頭がいいんだね!
- 才能があるよ!
- 周りとは違うね!
しなやかマインドセットを醸成するには次のように褒めましょう。
- よく勉強したね!
- 努力したんだね!
- 勉強の仕方を工夫したんだね!
子供が失敗した時
子供が失敗してフォローをする際も,次のように声をかけると硬直マインドセットを助長します。
- 運が悪かったね。
- 先生が変だね。
- 大したことではないよ。
運や他者といった子供自身ではどうしようもないことをフォローしては,子供のやる気は無くなってしまいます。次のようにフォローしてしなやかマインドセットを醸成しましょう。
- もうちょっと勉強した方がよかったね。
- 勉強の仕方を見直そっか。
他者への言及
子供に対してではなく,他者への言葉掛けも子供は聞いています。次のような言葉は硬直マインドセットを助長します。
- あの子は才能があるから。
- あの子は頭が悪いのかもね。
- 我慢できない人なんだね。
- あの子はどうしようもないよ。
子供は「いつか自分に対して言われるのではないか」と思ってしまいます。他者に対しての言及もしなやかマインドセットを意識しましょう。
おわりに
しなやかマインドセットは自分,もしくは子供が大きく成長できる可能性を高めるメリットのある考え方です。硬直マインドセットではなく,しなやかマインドセットを醸成しましょう。
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