学力は遺伝?多くの人が勘違いしている遺伝率

こんにちは。無限塾東京校校舎長の鈴木愛弥です。

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「私,遺伝的にバカなの…」「あの子が賢いのは遺伝だ」このような言説を一度は聞いたことがあるでしょう。これは本当なのでしょうか。この学力と遺伝に関しては間違ったことを書いているサイトも多くあります。嘘を見破れる知識をつけましょう。

学力は遺伝?世に蔓延る間違い

結論から申し上げると,「IQのばらつきの50%を遺伝で説明することができる」です。証明されている事実はこれだけです。これを拡大解釈して「学力の50%は遺伝である」という噂が広まっているのである。ここにはいくつかの間違いが複合的に絡み合って,大間違いになっている。その間違いを1つずつ紐解いていこう。

「IQ=学力」ではない

まず,IQと学力は違うということです。確かにIQが高いほど学力は高い傾向にありますが,その相関係数は0.54ほど(Bettina 2015)。中程度の相関関係といったところです。具体的にはIQ100(平均)の人の点数のばらつきが30〜80点で,IQ120(東大生平均)の人の点数のばらつきが40〜90点くらいと考えられます(この数字は目安です)。だからIQが低いとしても学力は上げることができるし,IQ高いからといって勉強しなければ学力は上がりません。

ScienceDirect

個人的な経験としては,学力=勉強法×勉強時間×IQくらいに思っています。ないよりかは良いけどというほどです。

「50%の遺伝率=50%は遺伝で決まる」ではない

遺伝率に関して多くの人は勘違いしています。遺伝率50%とは点数のばらつきの50%を遺伝で説明できるということです。つまり,100点中50点が遺伝で決まるわけではないのです。例えば平均が60点のテストで,40点を取る人から80点を取る人までばらつきがあるとします。このばらつき40点のうち20点が遺伝で決まると言っているのです。わかりやすくするために簡略していますが,分散をきちんと考えると更に遺伝の影響は少ないです。

行動遺伝学という学問です。興味がある方は是非調べてみてください。

育った環境は影響しないの?

遺伝の他に,家庭環境も子供の意思で変えることが難しいものです。この環境はもちろん影響しますが,中高生でIQに20%ほど影響する程度です。これも上に同じく「ばらつきの20%を家庭環境で説明できる」ということです。

また,家庭環境の影響が小さいというのは,多くの親御様がきちんと子育てをしていているから個人差が出にくいということです。

残り30%も自分の努力や学校環境,塾環境などで決めることができるということです。「たった30%じゃん」という声が聞こえてきますが,30%も努力の余地があるのです。身長は5%指紋に至っては1%しかありません。それらと比べたら,自分の努力を見せつけることのできる,かなり平等な指標と言えるでしょう。

終わりに

この遺伝と家庭環境を足して「学力は90%遺伝」という人もいます。そうだとしても,何度も言いますが「IQのばらつきの90%が遺伝もしくは家庭環境で説明できる」が正解です。努力すればどんな人も学力を上げられるし,サボればどんな人も学力が落ちます。

「遺伝で決まらない」は嘘ですが「努力は無駄」も嘘です。どちらにも影響を受けるのが人間で,だからこそ,努力をして勉強して,大学で遺伝の研究をする学者さんがたくさんいるのです。

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