【国際関係論】第1講 国際関係の特徴「アナーキー」とは?

国際関係の基本は「アナーキー」ということです。アナーキーとは一体どういうことでしょうか。またアナーキーであることでどのようなことが起こるのでしょうか。

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アナーキー

アナーキーとは

国際関係は「アナーキー」と言われています。アナーキーとは中央集権的な政府が存在しない状態のことを指します。ちょっと抽象的なのでアナーキーの逆を考えてみましょう。

アナーキーの逆は「ハイアラーキー」です。国内がハイアラーキーと考えてもらえれば大丈夫です。政府が治安維持権や徴税権を独占している,中央集権的な状態です。

国際社会では「世界政府」のような各国家の上に立つ組織はないのです。ここで疑問に思うのは「国際連合は?」ということだと思います。国際連合は国内政府に比べて権限が乏しすぎます。プーチン大統領がウクライナを攻めようが,国連は逮捕をすることさえ出来ません。

ですから,国際関係の基本的特質としてアナーキーであると言えるのです。

なぜアナーキーに?

アナーキーである世界では,主権国家体系が構築されています。主権国家体系とは主権国家により統治されているシステムのこと。では主権国家とはなんでしょうか。主権国家とは主権領域領民の三要素を持つ国家のことです。三要素にプラスして,統一的な政府が要素に含まれることもあります。

アナーキーは,この主権が要因となってきます。主権とは「国内の垂直関係」と「国際の水平関係」からなります。国内の垂直関係とは,領域内での絶対的権力を有しているということ,つまりハイアラーキーであることを示しています。重要なのはもう一方の「国際の水平関係」です。主権国家同士は大国であろうと小国であろうと対等であるという原則です。

この国際の水平関係が主権国家体系の中に取り入れられているから,世界はアナーキーなのです。

アナーキーにより起こること

アナーキーにより国内とは違ったことが様々起こります。

紛争解決は当事者主義

わかりやすいのは紛争解決は当事者主義ということです。国内では紛争(殺人としましょうか)が起こったら,司法の判断に基づき行政が罰を与えます。しかし,国際関係においては違います。第三国に仲裁をお願いしたり,国際司法裁判所に訴えたり出来ますが,国内政府ほど強い権力は有していません。基本的には当事者同士で解決しなくてはいけません。解決方法は2つで,「話し合う」もしくは「戦争」です。

協調関係が築けない

アナーキーでは協調関係が築けないという論理があります。ここでは二つの論理を紹介します。

アナーキー→自国は自国で守る→生き残りの目的化→他国と競争的な関係→協調できない

例えば安全保障のジレンマが挙げられます。中国が軍拡すれば,日本はそれを脅威と見なし日本も軍拡します。するとそれを中国が脅威と認識して軍拡…となることです。「他国の安全度合いを下げることなく,自らを安全にすることは出来ない」からです。

アナーキー→集合行為問題→協調できない

集合行為問題とは自分は協力する意思はあるが,相手が協力するかわからないので,結果として協力できない,という問題です。アナーキーであるため相手を強制させることが出来ません。

例を挙げると革命です。「皆んなが立ち上がっている間に部屋でゴロゴロして,民主政治という利益だけをもらおう」とアイツ思っているのではないだろうか?疑うことで協力できなくなるということです。だから革命は難しいのです。

集合行為問題については以下の記事で詳しく解説しています。ご覧ください。

2023年8月16日 | 校舎長ブログ
集合行為問題とは?具体例を交え,解決策までわ/
集合行為問題をわかりやすく解説

次回の予定

次回は「んじゃどうやって協力関係を築くの?」ということで「制度」について解説しようと思います。

お疲れ様でした!

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